就活中の身である。 「あなたは何をしている人ですか」と問われれば真っ先に「就活をしています」と答えてしまうだろう程度には、思考の大部分を就活に持って行かれている。病的だ。
諸事情あって就活の開始が遅れたこともあり、現在まで内定は無い。最終面接まで進んでは落ちる、を繰り返して今に至る。こういうことが続けば、自分の技術や能力、ひいては人格に多大な問題でもあるのではないかと疑ってしまう。こんなことはしない方がいい。
ともあれ切羽詰まっているので、とにかく情報を得ようと、今日は地元企業が集まる合同説明会に足を運んだ。自分の志望するタイプの企業は参加していないことは予想した上だったが、やはり選考に進みたいと思える企業はなかった。
途方に暮れていると、突然見知らぬ女性に声をかけられた。聞けば彼女もこの説明会の参加者の大学生で、「留学から帰ってきたばかりなので就活について何もわからない。闇雲に参加したこの説明会でも収穫がなく焦っている。いてもたってもいられず、声をかけてしまった。」とのことだった。
「なるほど、え、じゃあ、とりあえずここは出て、カフェでも行きますか。」
コーヒーを飲みつつ話を聞けば互いの緊張もほぐれてきて、就活への怨嗟をテーマに大いに会話が盛り上がった。私が持つ就活情報をあらかた共有し、なけなしのアドバイスをしたことがささやかながら役立ったのか、彼女は安心したように笑っていた。それに限らず、互いの趣味が共通していることも判明して、会話はそちらにシフトしどんどんヒートアップしていった。たいへん楽しい時間だった。
良い企業があったら教え合おうねとか、一緒に演劇見に行こうねとか、次は留学の話をもっと詳しく聞かせてねとか約束し合って、連絡先を交換して別れた。私は思わぬところで良き友人を1人増やすことができたらしい。
よく考えれば、これって人生初の「こんなつまんないパーティ、2人で抜け出しちゃおうよ」だなあ。良い出会いだ。しかしパーティは抜け出せばおしまいだが、説明会を抜け出したって就活からは抜け出せない。憂鬱な気持ちは晴れないが、この出会いを胸に頑張るしかない。
新しく友達になってくれた君。就活が終わったら、2人で本物のつまんねえパーティに行って、抜け出し直そうな。
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