日記の瞬間

16
2024年10月16日

先週の日記

近くのスーパーで北海道フェアがやっていたので、人生で初めてモッツァレラチーズを買った。

とまあ、これは一週間前の話。そのとき一緒に買ったサッポロクラシック(×6本)は残り二本になってしまっている。そう、そろそろ本腰を入れてモッツァレラを消費しなければならない。

消費、と考えてしまうのが虚しい。だって僕はこのチーズを、ウキウキの気持ちで購入したのだから。生ハムと合わせようか。やはりここはトマトとバジルか。ちょっと変化をつけて桃とかイチジクとかと一緒にサラダにするのも悪くない。

そんな想像をまくしたてていたのは遠い昔。ちょっと疲れて思考停止気味の僕は、こいつをトマトソースのパスタにぶち込むくらいしか思い浮かばない。

というわけで、若干ネガティブな気持ちのままモッツァレラを使って調理開始。いつも通りトマトソースを作り、茹でたパスタの麺をフライパンに入れる。前もって角切りにしていたモッツァレラを加え、溶けるまでしばらく待つ。

完成。とろとろのチーズが麺に絡み、とても美味しそうだ。ネガティブな気持ちはどこへやら、伸びるチーズを見てテンションが上がるくらいの純朴さはいまだ持ち合わせていたようだ。

なんとなく、答え合わせのつもりでモッツァレラを使ったパスタの作り方を紹介しているYouTubeを見る。するとシェフが「モッツァレラは温めすぎちゃダメですよ」と言う。まるでこれがこの料理のポイントであるかのように。「余熱で溶かすんです。溶け切っていないなあ、と思えるくらいの加減がベスト。くれぐれもフライパンの中でトロトロにしてはいけませんよ」

改めて自分の作ったパスタを見る。トロトロのチーズが、麺と麺の隙間にびっしりと詰まっている。それに完全に溶け切ってしまったチーズがトマトソースと混じり合い、半ばクリームソースのようにもなっている。

これは失敗なのか? せっかく買ったモッツァレラを、僕はダメにしてしまったのか?

YouTubeを閉じ、一口食べてみる。

普通に美味しい。いや全然トロットロのチーズにネガティブな要素なんてない。クリーミーなトマトソースはいつもより優しい味で、一体これの何がダメなんだ、と思う。とはいえもっと美味しくモッツァレラを味わう方法があったのならば、やはりこれは機会損失なのだろう。モッツァレラの本当の味を、僕はまだ知ることができない。

日記を読む

↓ランダムで日記が読めます

↓運営者の日記

日記の瞬間とは?

誰に繋がるかわからないドキドキハラハラの日記リレー企画、【日記の瞬間】。

日記を書こうと決めて一日を始めると、今まで見過ごしてきたいくつかの瞬間が、書くべき日記の題材として生き生きと立ち現れるような感触があります。

この企画は、多様な「日記の瞬間」を、それぞれの人が知り合いに依頼することで連鎖させていく試みです。

「日記の瞬間」が蓄積されることで、私たちの生活は繊細な「気づき」に満ち溢れていくはずです。

記事