日記の瞬間

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2026年3月27日

先週の日記

哲学研究をしている友だちを囲んで新宿で飲む。ワークショップのために京都から出てきた彼に紹介してもらったお店で馬鹿でかい唐揚げを食べながら、今の研究内容について聞いたり、ヴィトゲンシュタインの人生を面白がって消化したりする。

その中で、彼が大学入学時に作ったサークルで会の歴史が編まれる機会があったという話を聞いた。が、そこで語られる物語は大きく事実と異なるらしい。

彼は大学に入学してすぐに歴史研究会のようなサークルを立ち上げた。そして、そのサークルは人数不足で壊滅の危機にあった歴史研究会を吸収合併して、大学から部室を与えられる公認団体になった。僕もサークルにちょくちょく顔を出していたから、その経緯は肌感を持って知っている。あれは単なる合併ではなく、一方が一方を飲み込むような形の合併だったはずだ。

が、それから数年が経ち、歴史として語られたのは「コロナ禍で壊滅の危機に瀕した二つの団体が手を取り合った」物語だったのだという。「分かりやすい物語が選択されるってことを体感した」と彼は言った。かつてあった両者間の力関係は希薄化され、より伝わりやすい物語として編み直されている。

自分も「歴史の語り部」的な体験をしうるのだな、と思う。透明な一行でまとめられた記述の中に、そこから漏れた無数のエピソードがあるのだということは、改めて肝に銘じておかなければならないものだと思う。

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日記の瞬間とは?

誰に繋がるかわからないドキドキハラハラの日記リレー企画、【日記の瞬間】。

日記を書こうと決めて一日を始めると、今まで見過ごしてきたいくつかの瞬間が、書くべき日記の題材として生き生きと立ち現れるような感触があります。

この企画は、多様な「日記の瞬間」を、それぞれの人が知り合いに依頼することで連鎖させていく試みです。

「日記の瞬間」が蓄積されることで、私たちの生活は繊細な「気づき」に満ち溢れていくはずです。

note(26時の談話室)

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