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2025年3月8日

【運営の日記】不恰好な雪だるまのような

同僚の仕事の手伝いで、送られてきた絵にナンバリングをする仕事を行う。裏表に数字の印字された紙を、テープで絵の裏側に貼っていく。どっちから見てもこの絵は何番の絵なのかわかるようにするための仕事である。

単純だが、それゆえにだんだんと集中が途切れていくタイプの作業だ。僕が注意欠陥であることを知っているのか、「上下を逆に貼らないように気をつけてください」とアドバイスをくれる。「特に9と6は上下逆になるので」

そんなことはないだろうと高を括っていたが、たしかに作業を少し続けてみると、見慣れたはずの数字が、次第に見慣れぬ記号であるように思えてくる。アルファベットの数字というものが、高度に記号化されたシニフィアンであることを改めて理解する。

「これは正しい向きであるかどうか」を一つひとつ確かめながらノロノロと作業を進めていると、「989」という数字と出会う。そしてその数字になんとも言えない違和感を覚える。

しかし前の番号と照らしてみてもこれは正しい順番だし、記号が上下に反転しているわけでもない。数字を繰り返し見ていく中で、なんらかの感性が摩耗してきたのだろうか。訝しみながらその紙を絵の裏に貼り付けた瞬間、「986」は反転させても同じく「986」であることに気がつく。そこはかとなく覚えた違和感は、「8」のまるく囲われた部分の大きさが、上下で微妙に違うことに由来したものらしい。

まるで不恰好な雪だるまを見ていたようだな、と思う。

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