友だちが春からナベプロの養成所に通い始めたらしく、客を入れて行うはじめてのライブに招待してもらう。予備校みたいな雰囲気のビルに入り、薄暗い階段を登って劇場へ。
Aグループ・Bグループの二部制。そのグループは、前回のライブで審査員の付けた点数によって分けられたものらしい。実力がその評価を左右しているかはわからないが、かなりシビアだなと思う。Bグループで評価の高かったユニットはAグループに上がることができるとのことで、ではAグループで点数が低かったら……と、そんなことを考えてしまう。「◯◯の世界は厳しいから」と適当なことを言いたくなる気持ちもわからないではないが、野球部の一軍・二軍みたいなものを少なからず経由してきているから、勝手なことは言われたくないだろう、と思う。
まずはBグループの舞台を見る。友だちは二つのユニットに所属しており、A・Bともに出番がある。まずは「コーギーの水攻め」という名前で、「お前のおばあちゃんだいぶ変わってるな」というネタ。
めっちゃ面白かった。孫と「賃貸持ち家論争」をして、挙げ句の果てに「賃貸側」についてしまったり、上半身がかなり屈強らしかったり……と、書いてみてもあんまり面白さが伝わらないのが悔しいが、声も出ていて、すごく見ていて楽しかった。惜しくもAグループ昇格とはならなかったが、素人ながらめっちゃ良かったと思う。
ちょっと時間をあけて、Aグループの舞台を見る。こっちでは「ネコセッシ」という名前で「変な定食屋」のネタをやっている。一個前の漫才がかなりウケていたので、流れ的にはあんまり好ましくないなか、このネタも面白かった。どちらのネタも「なさそうでありそう」みたいなギリ共感で笑いをとっていくのではなく、「いやそんなのおらんだろ」という感じが個人的に好きだった。やっぱりお笑いでも映画でも小説でも、現実との接点がしっかりあるものよりも、どこか遠くに連れて行ってくれるようなものを見たり読んだりするのが好みだなと思う。
その点でいうと、Aグループの最後に出てきた「ビーマイナー」というコンビのショートコントがとても良かった。「猫の死に際街(うろ覚え)」という謎のシチュエーションで、死にかけの猫が自らの死に様を選択するというちょっとつげ義春っぽさもあるネタ。「最近流行りの死に際は……」みたいなフリから始まり、なぜか途中で猫たちが歌い出したりして、その荒唐無稽な感じがとても面白かった。
振り返ってみると、これは「猫」だから面白いと思ったのだと思う。これが「人間」だったら、どこか社会批評っぽい感じになってしまったはずだ。別に「猫」であることなんて、猫カチューシャをかぶっていたり、死に方として「マタタビの大量摂取」を選んだりするくらいで、特に強く印象づけられていたような気はしないが、逆に「お前らめっちゃ人間じゃん。猫じゃないじゃん」というビジュアルがオフビートな笑いを誘っている感じもする。
というか、「猫の死に際街」ってフレーズが良すぎる。どっかに着想源はあるだろうか。気になる。
観客は各ネタに1〜5点の評価をつけていくのだが、なかなか1点を付ける気にはならないし、5点をつけるのも時期尚早な感じがして、点数が2点から4点の間に収斂してしまう。となると、後半で点数の差をつけるために、2.5点の位置にマークをつけてしまったりして、結局は5段階評価を行なっているのだが、なら最初から1点と5点を付けておけよ、と思ったりする。
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