「蘇生はどうやるんですか?蘇生は?」
30歳くらいの男性が質問をしている。聞いているのはおそらくは一、二個くらい年上の先輩で、ちょっと格好つけたように間をあけて回答する。
「蘇生は……長電話」
「長電話で蘇生するんですか?」
何かを聞き間違えているのかもしれない。「蘇生」という言葉はそこはかとなくシリアスでのっぴきならない事情を想像させるが、好奇心に満ちた目をして尋ねる後輩の話しぶりは、不機嫌な彼女の宥め方を教えてもらっているかのようだ。関係性の修復を「蘇生」と呼んでいるのだとしたらなかなかユニークだ。
先輩が、長い間を空けて答える。
「……長電話で、蘇生する」
そう言って、先輩はその場を離れる。「えー」と驚いた表情を浮かべながら、後輩がそのあとを追いかける。
この前の飲み会は初対面の組み合わせがあったからか、4人中2人がお土産を持ってきていた。気の利かない僕はそんな発想など浮かばずに「やっちまった」という顔をすることでその場を乗り切ったのだが、僕と同じく手ぶらでやってきた元・職場の先輩によると、お返しをしないことは贈与論的には「負債になる」のだという。いずれは家を明け渡すことになるらしい。


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