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2024年6月16日

運営の日記

昼下がり、喫茶店を出てあたりをぶらぶらと散歩する。ちょっと暑いが、青空が綺麗で気持ちが良い。

団地のあいだを抜けて川沿いを歩いていると、公園で読書をしたい気分に駆られる。あっちの方に広い公園があったよな、と曖昧な記憶を頼りに進んでいると、職場の人と似た人とすれ違い、一瞬ドキッとする。

もちろん別人なわけだが、この完璧な休日に仕事のことが頭をよぎったのはちょっと悲しくなる。それを払拭すべく早足で歩くが、すぐに行き止まりに突き当たってしまう。

壊れかけのスマホをポケットから取り出し、地図を見る。やはり僕は一つ前の分かれ道で反対の道を選択してしまったらしい。

引き返すより他にない。しかし振り返って前を見ると、ついさっきすれ違った職場の人と似た人がノロノロと歩いているではないか。

僕の歩みの速度を考えると、およそ三十秒ほどでその男性を追い抜いてしまう。すれ違ったのは一分ほど前。ほんの数分の間に、彼は僕の姿を二度見ることになる。

「こいつ道間違えたんだな」と思われるくらいならまだいい。しかしともすれば「こいつはこの地域を物色する不審者だ」とも思われるかもしれない。それだけは避けたい。僕はこの街をもっと知りたい。

絶対に彼を追い抜くまいと、いつもの半分くらいのスピードで歩く。ちょっとあいだが詰まってきたと思うと、ほどけてもいない靴紐を結ぶふりをしたり、自動販売機を眺めて「買いたい飲み物はないな」と首を捻ったりして時間を稼ぐ。

ちょっと目を離したすきに、男の姿が消えている。しかしこれが油断だった。安心していつも通りの早足で歩き始めると、目と鼻の先にベンチで一休みする男が座っているではないか。

タオルで汗を拭う彼は、おそらく僕に気が付いてはいない。一瞬たじろぐが、ここは覚悟を決めて、さらに歩みを早めて彼の前を通り過ぎるしかない。足音を立てるまいと、つま先に神経を集中させて歩く。

変な汗をかいた。でもこれはただこの日が夏の始まりだったからかもしれない。彼は僕に気が付いただろうか。振り返らなかったので、そのことはどうもわからない。

公園で買ったコーラはぬるかった。

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