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2024年10月6日

【月犬さんの日記】wonderful day

7:00 目覚ましアラームが鳴る。 起きても問題はないくらいの眠気だったが、なぜか二度寝の態勢をきめこむ。それほど眠くなかったはずなのに瞬時、入眠に成功したようだ。 8:32 三度寝は許されない時刻。起床。 開店まで一時間半。焦ることはないが余裕はない。

お腹はすいていなかったが、何か食べてから出かけるのが子どもの頃からの習慣。 北の友人が送ってくれた大好物のA字フライビスケットがあった。満を持して開封。 アルファベットが何であるかを確認することもなくひたすらビスケットを口に運びながら二度寝でみた夢を検索した。

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素晴らしい吉夢。本日の期待が高まる。

食後はしばしゆっくりしたいので本を読む。余裕がないはずなのに一体どういうつもり。 月白店主に借りている朝吹真理子の『抽斗のなかの海』(中央公論新社)。「ぼくは一気に読んでしまいました」といって貸してくれたとおりいつまでも読んでしまうので、目次をみて目に留まった話をひとつだけ読んだ。

さっきより月が大きくみえる

冒頭遅刻の話。タイムリー。

時計の針はほとんど10:00をさしているけれど、勝手に5分くらい早まっているので大丈夫。部屋を出る。

月と犬到着。 SNSにて営業開始のお知らせを、とスマホをひらく。10:03 やや遅刻。 玄関で蚊とり線香を焚き、黒板に日付と閉店時刻を書いているところへお客さまご来店。 朝一の来店者はほぼいないという気のゆるみを正す。

若いお客さんが多いが、ひときわ若いお客さん。高校生だろうか。廊下の貼り紙から本棚に並ぶ背表紙ひとつひとつまでゆっくりとみていた。 店内を一周してたどり着いたのは閲覧用の写真集『弁造 Benzo』(奥山淳志/私家版)。表紙にそっと触れたので着座をすすめ、みてもらう。感想は聞かなかった。 文庫を一冊買ってくれる。とても静かなやりとり。 あぁ、きょうはもうこの気持ちで終わりたい。台無しになることが起こりませんように。

二人目のお客さんもはじめまして。 新書を二冊ご購入。なかなか動きそうにない本が売れた。こんなとき、どんな本でも必ずいつか買ってくれる人があらわれるのだと心強い気持ちになる。 おもむろに月と犬のInstagram投稿画面を出され「おれの犬をつくる会 ってなんですか?」 と聞かれる。どうやら何か意味深な会だと思われていたようだ。紙粘土で犬をつくっただけの、ただそれだけの会なのです。なんのひねりもなくてすいません。

A字フライビスケットによるエネルギー残量がわずかになる。 きょうはおにぎりも作れなかった。ローソンに行くか迷いだす。

ふと思い出すときに来てくれるお客さん、古本をたくさんお持ちくださった。 ありがたい。 人の善意でかろうじて生き延びている月と犬。本も二冊買ってくれた。 最初の頃からきてくれるお客さんは少し緊張する。だんだん好きなかんじではなくなっていたら、欲しい本がなくて困っていたら、どうしよう。来る人みんな、あれもこれも欲しくなって困らせたい。

古本の値付けをはじめるが、やはり血糖値が下がりすぎた。意を決してローソンに行く。いまだけは誰も来ないで。

ご飯買いに行ってます すぐ戻ります

貼り紙をはる。

急いで戻ると、誰も来ていなかった。セーフ

ほどなくして雨が降りだし、誰も来ないまま17:00をまわる。 本日で終了の『おれたちの犬展』を片づけはじめていると、かすかに呼び鈴が鳴った気がした。風のいたずらかもしれないと思いつつ一応見に行くと来客者の姿。最後まであきらめてはいけない。 先月はじめて来てくれたお客さん。短い期間でまた来てくれることはめったにないからどうしたことかと思ったら、二周年のお祝いを届けてくれた。OYATUYA. Uのお菓子!五年前から食べてみたかった。本を渡す時の袋が底を尽きてきたと言ったことも気にとめてくださって、紙袋の寄付まで! なんて厚いお心遣い。またしても人の善意で救われる月と犬。さっそくいただいたクッキーを一緒に食べ、しばし話し込む。 二度目に会った人とこんなふうに話すことの不思議。月と犬はわたしを月犬にする。月犬はわたしだが、わたしではない。

雨足がよわくなり最後のお客さんを見送って閉店。

夢占い、当たる。

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