東京旅行3日目。友人の家で夜明けまで麻雀をした後、朝の7時頃に御徒町のネットカフェについて少しだけ眠った。大学時代の友人と秋葉原で待ち合わせをしていたので、そろそろ電車に乗ろうと駅へ向かっているところで、アメ横のアーチがふと目にとまった。朝は眠気で意識が朦朧としていて気付かなかったのだ。私の好きなpanpanyaの漫画『グヤバノ・ホリデー』は、「グヤバノジュース」という謎の飲み物をアメ横の地下街で偶然見つけるところから始まる。アメ横に来る機会があれば飲んでみたいと思っていた私は、友人に少し遅れると連絡をいれ、急いでアメ横の地下に向かった。日本の市場には滅多に流通しない果物を使ったそのジュースはネット通販でも購入することができるようだが、こういうのは実際に遠出をして、実物に出会った上で味わうことに意味がある。市場を何周かしたが見つからず、店員に尋ねたところ今は在庫がなく次回入荷も不明とのことだった(『グヤバノ・ホリデー』ならここからグヤバノを求めてフィリピンへと旅立つのだが、私にはそんな行動力はない)。フィリピン食品の通販サイトを見ながら「ここで通販に頼るのも違うよなあ…」と後ろ髪ひかれる気分で御徒町を後にする。グヤバノジュースを飲めるのはまだ少し先になりそうだ。
秋葉原で友人と落ち合い、神田でカレーを食べてから電気街を巡ることにした。仕事の都合で東京を出ることになった友人にとっても、残り少ない貴重な散策の時間だ。ラジオ館でK-BOOKSやamiamiを物色した。私にはあまりオタクの気はないのだが、ポップアップストアや即売会、ライブ会場など、オタクが沢山いる空間は結構好きだ。知らないオタク達のオタク談義を小耳に挟みながら、エロゲーコーナーでタペストリーを見た。顔を赤らめた女性キャラの裸体が壁一面に張り巡らされた光景には、何とも言い難い衝撃がある。夜は渋谷で別の友人に会う予定があったので、ある程度秋葉原をまわったところで彼とは別れて山手線に乗った。
渋谷で友人が予約してくれた居酒屋に行き、仕事や趣味の話をする。この旅行で学生時代の友人数人と会ったが、私含めみんながちゃんと社会人として働いていることに未だ新鮮に驚いてしまう。貯金や結婚について考えながらも、根本的な幼さみたいなものは意外とみんな変わっていない。大人になると仕事や将来の話ばかりする面白くない人間になる、みたいな先入観が頭のどこかにあって、大人になることにずっと嫌悪感があるのだけれど、この東京旅行ではその嫌悪感もちょっとは薄れて、自分や周囲の人間が大人になっていくことを少し受け入れられるようになった気がする。お金も学生時代よりはあるし、こうやってたまに集まって美味しいものを食べながら、昔話や近況報告ができる友人たちがいてくれるなら、大人になるのもそこまで嫌じゃないかもしれない。
コメント