前夜の飲酒で荒れた胃も落ち着いてきた昼休み、コンビニで試みにスープカレーを買ってみる。手に持った時の軽さに一抹の不安を覚えながらも、550円(税抜)の価格を信じてみることにする。
職場のレンジで温め、自席で開封。水蒸気とともにスパイスの香りが立ち上り、これはなかなかうまそうだなと思う。
どうやら容器は一重のようだ。コンビニの「○○丼」によくある具材とご飯の二段構えではないらしい。
お腹がひどく減っている。こいつは俺を満足させられないのではないかと不安を抱きながらスプーンを皿に差し込むと、その先端は何のひっかりもなく底にぶつかってしまう。
白米がない。
「うわ」と小さく声が漏れてしまう。確かに「スープカレー」なんてしゃらくさいものを購入したのは自分自身だが、曲がりなりにもこれはカレーであって、白米とともに書き込んで空腹を満たすことがお前の主たる役割ではないのか。こんなカレー風味のスープで疲れた労働者の胃袋を満足させることができるとでもいうのか。
腹の鳴りが虚しくオフィスに響く。落胆とともにその液体を口に含むと、まあ確かに美味しい。美味しいには美味しいのだが、しかしこれはあくまでスープである。「スープカレー」などと自称しているが、その本質はスープであり、せめて「カレースープ」と名乗って然るべき食べ物である。
もう一口、今度は底の方から掬って食べてみると、何やらサラサラとした訳のわからない穀物が入っていることに気がつく。今度はスプーンの上でそいつを睨みつけてみると、真ん中に筋の入った白米より少し大きな粒である。
冷静になってもう一度その穀物を食べてみると、まあ美味しい。美味しいのだが、こんなにサラサラとしてカレーの中に漂っているだけのものを白米の代わりと認識することは到底できない。カレーの中で炭水化物の応用を展開しないでほしい。サラダにクルトンとは話が違うのだ。炭水化物の基本は腹を満たすことであり、その基本をまずは思い返してほしい。
この時点でだいぶムカムカしているのだが、スープカレーの弱点はまだ残されている。というのもスープというだけあって、こぼすリスクが格段に上昇しているのである。そのくせカレーなのだからこぼした際に受けるダメージは計り知れず、スプーンの上で不安定に波打つ茶色の液体に全集中を傾けていたら、腹は満たされないまま20分くらいが経過していた。
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