22
2024年8月22日

【山本誠志さんの日記】何もない日

今日は久しぶりの「やらなきゃいけないこと」が無い日だ。 と言っても、僕には殆ど「やらなきゃいけないこと」など存在しないのだが。

僕は連載が打ち切られた漫画家だ。 平たく言えば絵を描くニートである。 ニートと言っても、他の漫画家の手伝いとか前の連載で稼いだ金とかはあるけどね!という世間体的な言い訳を挟んでおく。

連載を失った漫画家は基本的に「やらなきゃいけないこと」がない。 描きたい時に描けばいいし、寝たいときに寝たらいい。 だが、新作を出さないといつか金欠で死ぬので「ベッドから出て机に向かわなあかん罪悪感」だけはある。 今日は担当編集に新企画を提出して、返事待ちの日なので 正真正銘「何もしなくてもいい日」なのだ。

「あぁ…今日も何も生み出せなかった」と思いながらベッドに入らなくてもいい。「何もない日」最強。

だが、いきなり自由にされてもやりたい事が浮かばなかった。 まじで暇。

午前10時に目覚めて比較的早起きだった今日は時間を持て余していた。(これでも僕にとっては早起きである。) 普段は昼くらいにテキトーに起きて、ダラダラ深夜まで起きていがちなのだが、 今日は久しぶりに凝った朝食を作ろうと思った。

いつも冷食ばかり食べて、The日本の朝食みたいな物を数年食べていない。 10時半に食材を買い出し、ダラダラ溜まっていたドラマを観ながら、味噌汁と焼き魚と玉子焼きと自家製の簡単な漬物を作った。 毎朝こんな事をしていた母はバケモンである。 そして僕の場合12時頃になっていたのでもはや朝食ではない。

カリカリの鮭は堪らなく美味かったが、 米不足でチンの米しかなくてべちょべちょだったので、和食の旨さの半分以上は米が占めるよなと思った。 水曜日のダウンタウンを見ながら超絶時間を掛けて食べて腹的には大満足。 水ダウもおもろかった。

午後。またする事がなくなった。 映画やドラマは作業中に流すことが多いのであまり消費したくないし、出掛けるにしても金がなさすぎる。 「自由ってめちゃくちゃ暇やな」とムカつきながら昼寝をした。(贅沢)

担当編集の新企画の通知音で目覚める。 急遽夜に打ち合わせが入った。 それはそれで、「はぁ?俺の自由時間返せよ」と思ってしまう。なんてわがままな生き物なんだ。

夜の打ち合わせで、いくら悩んでも答えが出ないような、めちゃくちゃテーマが広い問いを出された。 お互い、ああでもないこうでもないと言いながら沈黙になっていく。 会議あるあるなのかもしれないが、 考えてるのか考えているフリをしているのか分からなくなる時間。 どれも正解じゃないし、どれでも正解みたいなヤツ。

これって「今日は何でも好きなことしていいよ」って言われた時と同じ感覚だと気づいた。 一日かけて堂々巡りしとるやないかい。

結局答えが出ず、次回までの宿題に。 やっと「やらなきゃいけないこと」が出来たが、トイレでも、風呂に入りながらでも考えられるので、作ってる感が薄すぎて、すげえ罪悪感を感じる。 こういう創作活動って飯を作ったり、商品を作ったり、特段やらなきゃいけないことでもないので、 僕って年間殆ど「暇」をやってるんじゃないか?と思った。

コメント

タイトルとURLをコピーしました