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2024年9月28日

【運営の日記】ブンボーフエと別れの予感

家の近所に最近できたベトナム料理のお店に入る。ついこの前まで結構お気に入りのうどん屋が入っていた場所なので、どうしても「実力を見せてもらおうか」とちょっと偉そうな心構えになってしまう。

333というビールとブンボーフエという牛肉の麺を頼む。フォー以外の麺類はあまりよく知らないので、店主らしき女性に軽く説明をしてもらう。

客は僕一人。テレサ・テンの『別れの予感』が流れている。高校生の頃に文化祭でやった演劇で使われていた曲で、聴くたびに十代の終わりを思い出してしまう。高校生の夏。もう十年ほど前になる。

カウンター越しに、料理の準備をしている様子が見える。器に茹で麺のようなものを入れ、煮込んだ牛肉の切れ端を置く。パッと見ただけでもかなりの量だ。

調理の様子を見ているのも居心地が悪くなり、スマホに視線を落とす。しかしまあ、ほんの少し前まで高校生だったはずなのに、仕事終わりに一人でビールを飲むようになるとは。お酒を飲みはじめた当初はビールを飲むのがおっさんくさいような気がしていた。ウィスキーとワインをちびちびやって、ムーディーな音楽でもかけながら本を読むのがカッコいいと思っていた。今考えるとその発想があまりに陳腐でダサいのだが、それはそれで若気の至りなのだと思う。

五分ほどで着丼。ほんのり赤いスープは辛そうだが、一口啜ってみるとかなりさっぱりとした味付け。この赤さはトマトかしら。麺自体は柔らかい素麺のようで、口の中でほどけるように切れていく。見た目に反して全体的に優しく、美味しい。

ただ予想通りかなりの量だ。器の底に麺がぎっちりと詰め込まれており、食べても食べても減る様子がない。よく考えてみれば不思議なのだが、優しい味付けのものを満腹になるまで食べることはあまりない。腹一杯になるのは二郎、家系、すた丼……どれも脂っこい、それだけでお腹に痛みを与えるような食べ物ばかり。お粥を満腹になるまで食べることはあまりない。

そんなことを考えていたら、いつの間にかほとんど食べ切っていた。腹ははち切れんばかり。美味しかったです。

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