帰り道にベトナム料理屋に入る。長時間労働をしたわけではないが、どうにもぐったり疲れていて、自炊をする気分にならなかったのだ。
労働の疲れってなんなのだろう、と思う。朝から晩まで野球をしていたときも、一日中図書館にこもっていたときも、この疲れ方はなかった。肉体的にも脳みそ的にもそんなに疲労が溜まる理由なんてないはずなのに、本当に「ぐでー」と言ってしまいたくなるくらい身体がベッドを欲しているのだ。
ストレスなんてものはこれまでもそれなりに感じたことがあったし、それと比較すると、今、それほど多大なる重圧がかかっているわけではない。一日中突っ立っているわけでもないし、脳みそをフル回転させているわけでもない。それなのに、これまで経験したことのない疲労を覚え、「もう寝るだけでいいか」と投げやりな気分になってしまう。
フォーが美味しい。この柔らかい米製の麺は、箸でつかむとすぐにちぎれてしまって、なかなか一気に啜ることができない。でもその優しい食感と味が、身体にじんわりと染み渡る。食べたら元気が湧いてくるみたいなことはないが、疲労した身体を優しく撫でてくれるような感覚を抱く。
労働って不思議なものだ。
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