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2024年11月29日

【運営の日記】読書調整

朝の電車は元気に満ち溢れているので、ダラダラとスマホを見たりして時間を潰すことなく、立ったままでも集中して本を読むことができる。なんなら土日休日も含んだすべての時間の中で、もっとも読書がはかどる時間であるといってもいいくらいだ。

先週くらいから読み直している『罪と罰』の上巻が、あと二十ページくらいで読み終わる。この朝の時間に読み切ってしまおうと意気込んで電車に乗り込むと、すぐに本を開いて読み始める。

電車が駅に止まるたび、あと何頁で読み終わるのかを確かめる。ちょうど職場の最寄り駅に着いたタイミングで最後の一頁を読み切れるように、読む速度を微調整しながら、それでいて本への集中を切らすことなくひたすらに文字を追っていく。CMまでの時間を頭に入れながらトークを行う生放送の司会者みたいだな、と思う。

最寄りの駅まであと一駅。『罪と罰』に残されたのはあと三ページ。ガッと腹に力を込めて、狂いかけているラスコーリニコフの心理を読んでいく。

「アルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフです。よろしく」

狂気から覚めたラスコーリニコフが、見知らぬ男に挨拶をされた瞬間、職場まで続く扉がぬっと開いた。

(下巻につづく)

(労働がはじまる)

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