前日に買ってあった鶏肉を使って親子丼を作る。
鶏肉を小さめにカットし、皮面からフライパンに敷いて火をつける。香ばしく焼けてきたら、余った舞茸を入れて、だいぶ前に買った鴨だしのもとと水を注ぎ入れ、煮えるまでしばらく待つ。その間に卵を溶き、長ネギを薄く切って、水溶き片栗粉を準備する。そして煮えるまでの残り時間で、使用済みの皿やまな板を洗う。
なんというテキパキとした動き。鮮やかな段取りに惚れ惚れとしながら、水溶き片栗粉でとろみをつけ、卵を流し込んで完成。
炊き立てのご飯をよそい、出来立ての餡をかけると、半熟トロトロの親子丼の完成。
素晴らしい出来である。塩加減はバッチリと決まっているし、しっかりと焼きを入れた肉の香ばしさも食欲をそそる。
なにせひどく腹が減っていた。むしゃむしゃと食べ進めていくと、丼一杯では飽き足らず、すぐに二杯目を喰らいにかかる。
しかしそれが悪手であった。腹に食べ物が入ってから、満腹感が満たされるまでには若干の時間差がある。そのことを考慮に入れなかった僕は、湯気の立った見事な親子丼を前にしながら、突然箸が止まってしまったのである。
とはいえ、出されたご飯を食べ切らないわけにもいかない。丼が冷え切るまで時間をかけて、なんとか完食。
その代償は大きかった。まだ九時過ぎだというのに、ずっしりと重い腹はあらゆる意欲や向上心を消し去ってしまい、できることといえばベッドに転がってスマホを眺めるばかり。「二郎を食べたら一日が終わる」を旗印になるべく大食いを避けてきたはずなのに、この歳になって同じ過ちを繰り返す自分に辟易としながらも、先週あたりも満腹で苦しんでいたことを思い出した。
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