昼ごはんに近くのインドカレー屋へ。半年くらい前にできて以来、いつか行こうと思っていたお店だ。
13時すぎだったからか、店内に客は数人。カウンター席に座り、バターチキンカレーを中辛で注文する。
右隣に50歳くらいの男性がいて、カレーを食べている。店員が「辛くない?」と尋ね、「結構辛いけど美味しい」と返答をする。おそらく激辛でも頼んだのだろう。
僕の席にもカレーが届いたので、まずはナンをそのまま一口。空腹で口に入れるナンってなんでこんなにうまいんだろう、と思う。生地を噛むたびにふわっと香る甘く香ばしい香りが口の中を満たし、たまらなく幸福な気持ちになる。
そういえば、今日は大人になろうと思ってインドカレー屋に来たのだった。「おかわり自由」のお店で、その自由を無理に行使しないこと。大人とは外部から与えられた自由に対して、個の自由を優先させることにほかならない。
とはいえその思いは揺らいでくる。ナンがうまい。今日はうっかり朝ごはんを抜いてしまったのだ。
重要なのは、序盤のペースである。二枚目のナンを念頭に置けば、カレーの消費量も調整せざるをえない。少ないカレーでナンを食べる技術が要請されている。
そんなことを考えていたら、隣の席の男性のもとに、何やら大きな肉の塊が運ばれてくる。ソーセージのような見た目で、家族四人のテーブルの真ん中に鎮座していてもおかしくないくらいの存在感である。
あの男性は、ナンを食らい、それでは飽き足らずに一人前の分量をとうに超えた肉をも食すのである。これは凄まじい食欲だ。二枚目のナンを想定してカレーの配分を計算していた自分がちっぽけな存在に思えてくる。そして半分くらい食べ進めたところで、意外とお腹がいっぱいになっていることに気がついた。大人になるとは、消化器官が劣化するということなのだろう。
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