職場の近くで、修学旅行生 or 遠足らしき集団をみる。たしかにここは東京の中心部といっても良い場所だ。あたりをキョロキョロと見回しながら列になって歩く若者たちの姿は、なんやかんやで微笑ましいものだと思う。
高校の修学旅行に行ってから、ちょうど丸十年が経過したことに気がつく。正直言って、高校時代の数あるイベントの中でも、思い出として修学旅行の占める割合はそれほど大きくない。広島・京都に行ったらしいが、広島の記憶はもうほとんどないし、京都での思い出も大学時代のそれと重なって薄れてしまっている。
嵐山の鯛茶漬けのお店で、野球部の同期たちと死ぬほどご飯をおかわりした。寺町付近の薄暗いおしゃれなカフェでドギマギしながらクスクスを食べた。
どうやら食のことばかり覚えているらしいが、思えば高校時代の僕たちは、表向きは余暇を謳歌する観光客として振る舞いつつも、その裏では野球部的な頑固さを忍ばせていた。小洒落たお店に並びながら、「本当は野球の練習をするべきなのだ」と考え、逆説的に、今は本質的な時間でないのだからちょけても大丈夫だと理由をつけて観光名所を巡っていた。
今となっては、そんな裏返しの「真面目さ」はもったいなかったような気がするし、たとえば高校生の集団の中にちょっと不機嫌な顔をした坊主頭を見かけたりすると、昔の自分を見ているようで恥ずかしい気持ちになる。
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