小川哲の『君のクイズ』を読み始める。
ワールドカップみたく「競技化」したクイズの大会の決勝で、対戦相手が問題文を一文字も聞くことなく正答した——その「謎=クイズ」への回答を試みるミステリー。
特に鮮やかだと思ったのは「熟練者VS新参者」の対立構造だ。「クイズ人生」を語れるくらいクイズに人生を捧げてきた男と、エキセントリックな回答で一躍スターダムにのし上がった経験の少ない天才。スポーツ漫画的な「誰より努力してきた男が、ポッと出の天才に破れる」導入が小説の出発点となり、「ゼロ文字正答」という謎をめぐって物語が動き出していく。
クイズプレイヤー「界隈」の描写も素晴らしい(そんな界隈があるのかは知らないが)。「普通の人はクイズを何もわかっていない」と公言するのを憚らない村社会感がリアルに描かれている。集団が団結して対象に否定的な眼差しを向ける——その嫌なリアリティが滲み出る文章がすごい。
とまあ、油断するとひどい夜更かしをしてしまう予感がしたので、適当なところで切り上げて就寝。早く続きが読みたいね。
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