新卒入社1ヶ月目の木曜日。昨夜は疲れからかコンタクトをつけたまま寝落ちていたようで、珍しく早朝4:30に目が覚めた。この日の東京は晴れで、すりガラスの向こうが白んでいた。 早朝は静かだ。布団に寝転がったまま、ひとまずSNSをチェックする。こんな時間にSNSを更新しているのは、メーデーに参加するべくフランスに行っている友人だけだった。彼は催涙弾を受けていたようだが、大丈夫だっただろうか。
起きてすぐSNSを一通りチェックするのは、今の私に馴染んでしまったよくない習慣である。SNSがあると、「一人になること」、それによって思考の整理を行うことが難しい。あらゆる人が今どこで何をしているのかが目に入る。特に私はここ4年ほど誰かしらと共同生活をしているため、早朝なんて絶好の「一人チャンス」なのだが、それを私はSNSによって塗りつぶしている。勿体ないなと思う。
思考が発散して、「これを買いたい」「ここに行かなきゃ」「これが羨ましい」そんなふうに思うし、ちょっとした快がずっと与えられ続ける。というか、かしこい人たちが「私がそう思うように」「1秒でも長く滞在するように」仕向けて広告や投稿を見せてくる。実際にそこで有益な情報が得られることもあるのだが、なんだか、ずっとそうしていると、私の輪郭がぼやけて見えなくなってしまうのではないかという恐怖感がある。東京在住20代女性、おいしいものや美容、犬が好き。そんなふうにざっくりカテゴライズされた私に、小さい画面から与えられる情報をずっと見ていると、もっと大事なものが指の隙間からこぼれ落ちてしまうような。でもSNSを見ていないとなんとなくソワソワして、見ている間は落ち着く。煙草と似ているなと思う。
Awichという好きなラッパーが、Bad Bitch 美学という曲の中で「Bad B*tch 常己磨く、インスタの前に日記開く」と歌っていて、シビれた。こうなりたい。
日記を書くというのは、とても孤独な営みだと思う。たとえそれを公開する予定があったとしても(こんなふうに)、書いている間は一人にならなくてはいけない。誰かに宛てるものでもないから、手紙とも違う。ただただ、自分を中心として、世界を見つめ直し、それを自ら言葉にしなくてはならない。日記を書く人は、強い。
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