近所で海外文学のブックフェスタが開催されていたので、昼食後の散歩を延長して足を伸ばしてみる。
そこは高架下のカフェ&イベントスペースのような場所で、ガラス張りの向こう側に多くの人がぎゅうぎゅう詰めになっている。ちょうどトークショーの最中だったらしい。
一人の男性が入り口の外からその様子を凝視している。「ここから入るんですか」と声をかけようと思うが、知らない人に話しかける勇気が出ない。そのくせその弱気を悟られるのも癪で、扉の近くまで歩み寄り中をチラと窺いつつ「へえー、なんのイベントやってるんだろ」と新奇さに興味を示す演技を孤独に行い、その場を離れてしまう。これがブックフェスタであることは知っているのに。
結局何度か通っている会場近くの喫茶店に逃げ込んで、前日に届いた日常美学の新書を読み進める。レアチーズケーキなんかを食べてしまったりして、でも海外文学の本を買うお金なんてないよなと自分に言い聞かせながら、隣の席でJホラーについて語る陽気な二人組の男性の声に耳を傾けている。
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