真夜中のことです。
私は就寝していたのですが、蚊に刺されたらしく、両足に痒みを感じました。このままでは痒みで眠れなさそうだったので、2階の自室から1階まで降りていき、かゆみ止めの薬を両足のふくらはぎに塗って、2階の自室に戻って眠りに着きました。
その後、ぐっすり眠りに・・・と思ったのですが、再び両足に痒みが襲ってきたのです。
「マジか!?」と思いつつ、それでも無理やり寝ようとしたのですが、やはり痒みには勝てず、再び1階まで降りていき、かゆみ止めの薬を塗りました。左足は先ほど刺された場所のすぐ横で、右足は親指に近いところ・・・に塗って、今度は絶対に蚊に刺されないようにと思い、ベッドの周辺をキンチョールでスプレーしてから寝ることにしました。
このとき時間は午前3時30分頃、このままでは寝不足で朝を迎えることが確実なので、「今度こそ寝ないと・・・」と思ったのですが、「寝ないといけない」という焦りと、薬でも解消できずに残ってしまった痒み、そして「また蚊に刺されるのでは?」という不安で眠れなくなってしまったのです。
そんな私はベッドの上でやることもなく、つい考え事(妄想)を始めてしまいました。
「そういえば、蚊って刺すのはメスだけなんだなぁ」
「やけに血の気が多いメスが、今夜は俺に寄ってきてしまったのか」
「非モテ男の俺には、人間の女性が寄ってくるフェロモンはないけど、蚊のメスが寄ってくるフェロモンはあるらしい」
「ベッドで寝ようと思ったら、女が寄ってきて寝かせてくれない」
「この言葉だけなら、めちゃくちゃ格好いいし、羨ましい話だと思うけど、現実は蚊に刺されただけなんだよな」
「これがメスの蚊じゃなくて、香水を纏わせたセクシーな美女だったら良かったのに・・・」
「『なに寝てんのよ、今夜は寝かせないよ!』とか言われて、首元にキスマークとかつけられてみたいなぁ」
「俺、こんな夜中に何を妄想しているんだろう?」
「非モテ男が考えることなんて、所詮こんなレベルだよなぁ・・・」
ウトウトした妄想と共に時間は経過し、いつの間にか朝になってしまいました。
夏の暑い一日は、誰にも平等にやってきます。
寝不足な非モテ男にも、香水が似合うセクシーな美女にも、いつの間にかどこかに消えた蚊にも・・・。
結局、私はほとんど眠れず、極度の寝不足のまま起床することになりました。
もちろん、セクシーな美女のキスマークも、香水の残り香もありません。あるのは、蚊に刺された跡だけ・・・キンチョールの臭いすら消えていました。
世間がパリオリンピックで一喜一憂する今日という一日は、誰かにとっては最高の思い出になる一日かも知れませんし、別の誰かにとっては悲しい出来事に涙する一日かも知れませんが、私にとっては蚊に刺されたことによる睡眠不足と夏の暑さで、とても辛い一日になってしまいました。
そして、その夜・・・幸か不幸か、私はぐっすりと眠ることができました。
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