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2024年9月27日

【ゆるふわ無職さんの日記】

9/27 8:00 頭痛・吐き気・腹痛。僕は体調不良に苛まれながら、名古屋のビジネスホテルで起床した。俗に言うゴリゴリの二日酔いである。 前日の26日、名古屋の伏見地下街~久屋大通公園で、僕が参加している「ニートマガジン」という文芸サークルの打ち上げがあった。 僕は酒に弱いことを自覚しているにも関わらず、お店でせんべろセット×2と、参加メンバーがお土産で持ってきてくれたスリランカの酒をグビグビ飲んでしまった。 そもそも、せんべろセットを2つ頼んだら、にせんべろべろになることは自明の理である。「1+1=2」のように当たり前のことであった。 夜の久屋大通公園の芝生に座り込んで飲んだスリランカのアラックという蒸留酒もうまかった。どうやらオレンジジュース割りにするのが本場の飲み方らしい。 酔っぱらいながらサークルのメンバーたちと、哲学や宗教、人生論から今後の活動まで幅広く語り合う時間は夢のようだった。そもそも、ネット上で知り合った人が目の前に顕現するということ自体が何かの幻を見ているようである。 しかし、夢とは儚く束の間のものであり、僕はジンジンと頭に響く頭痛と、ビジネスホテルのシャワー室の生臭さによって、現実と呼ばれるこの瞬間に引き戻されるのであった。

9/27 11:00 チェックアウトをして、名古屋の街をふらつく。 9月の下旬であるのに暑さは衰えを見せず、ロンTには汗が滲んでいた。せっかく持ってきた上着も昨日今日と出番がなく、ただの余計なウェイトと化していた。 訪れるのは2回目だが、僕は名古屋という街が結構好きだ。 東京ほど余裕がないわけでもなく、大阪ほど猥雑なわけでもない、ちょうどよくチルい街だと感じる。 街の中心に存在する久屋大通公園では、ビジネスマンから子連れの主婦、大学生やフリーターらしき若者までが赴くままにくつろいでいる。 公園を歩いていると、昨日ニートマガジンのメンバーで集まった場所を通りかかった。 もちろん、その場に昨日のメンバーはいない。あの場所は知らない人々が行き交う街の風景の一部と化していた。 ぼんやりとした記憶は明確に過去と化し、強い無常感が僕を襲う。 みんなは今頃何をしているのだろうか? 昨日の出来事は本当だったのだろうか? こうしていつか全て消え去っていくのだろうか? いたたまれない気持ちになり、僕は早足で公園を去るのであった。

9/27 15:00 JR名古屋駅の高速バス乗り場から東京駅行きのバスに乗り込む。 疲れた体をバスの振動に委ねて、ぼーっとしていたら、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。 気付けば外は暗くなっていて、オレンジ色の車内灯がバスを鈍く照らす。 そういえば、この感覚は小さい頃に感じたことがある。 家族で車で遠出して、夜の帰り道に子供の自分だけ疲れ果てて眠ってしまったとき――あの時の記憶だ! 僕は思わず1人で泣きそうになってしまった。 そして、下を向いたらTシャツによだれを垂らしていた(寝ている間に)。 いろんな所から無邪気に体液を垂れ流す赤子に還ってしまったようだ。 バスは静岡県の足柄サービスエリアに到着し、外に出ると山の澄んだ夜風が僕の中を通り抜ける。 「これでよい」 なぜか分からないが、そのとき僕は強くそう思えた。 全ての出来事は思い出と化し、その記憶さえ風化していく。 老人は子供に戻りながら無に向かっていく。 あらゆる喜びも悲しみも、雲がちぎれるように消えていく。 僕はそれを受け入れて、再び東京行きのバスに乗り込むのであった。

プロフィール

ゆるふわ無職

ゆるふわ無職

1995年生まれ。神奈川県出身。なるべく働かないで生活中。電子書籍に『寝そべり族マニュアル』『徘徊する肉塊』がある。「ニートマガジン」というコミュニティ・ZINE作成もやってます。【ブログ】https://yrfwmsk.com/

日記
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