ドトールで本を読んでいると、隣に40代と70代くらいの男性二人組がやってくる。
いかにも息子の帰省といった光景。息子(と断定してしまおう)は顔の前あたりにスマホを掲げてその画面を見やり、父親はその向かいでスポーツ新聞を読んでいる。途切れ途切れの会話は、隣の席に座る僕には暗号のように聞こえる。
読んでいた掌編が終わるたびに、チラとその席の様子を窺う。特に関心を掻き立てる要素があったわけではないが、不思議と気になってしまう。
ふと、父親の読んでいる新聞の紙面に目をやる。メガネを外し、ほとんど接触しているばかりに顔に近づけて凝視しているその内容が、若い女性のグラビア写真とスポーツ新聞特有の猥褻な文句であったことに気がついたとき、なんだか少し嬉しくなってしまった。
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