居候している元同僚が皿洗いをしながら何かを訥々と語り始め、「え?」と聞き返すと、「オチがない話だからやめる」と言う。
が、自分のその言葉に納得がいかなかったのか、「オチがない話は喋っちゃだめ、みたいな雰囲気ってよくないと思う」と呟き、「こういう雰囲気を作っているのは誰なんだ」とふざけた調子で語る。
たしかにその通りだなと思う。オチがない話でも自信を持って喋るべきだ。それが許されない環境があるなら、とっとと逃げ出したほうがいい。
そう思って、彼のその言葉に応答するように、なんの結論も用意せずほとんど反射でひたすらに言葉をつないでみる。彼は皿洗いをしながら適当に相槌を打つ。その「うん」という言葉は次第に無関心で低い声へと変わっていき、何か面白いことを言わなければいけないような気持ちになってくる。
話している相手に対して「面白いことを言ってくれよ」と要求するような相槌ってあるよな、と思う。
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