8
2025年2月8日

【運営の日記】カウリスマキの「不動な眼」

カウリスマキの『コントラクト・キラー』を見る。

とにかく役者たちの「眼の動かなさ」がすごいと思った。いわゆる「自然な演技」とは一線を画した、機械的に遂行される身体の動き。その不自然さがもっとも際立つのが、登場人物たちの無表情で不動な眼に現れていると思う。

面白いのは、演技はあからさまに「演じている感」を強調しているのに、語りのトーンはあくまで「日常の生活」に焦点が合っているということ。仕事をクビになった男とか、薔薇売りをしている女とか、普通の映画だったら「リアルに」演じられるべき人間たちが、不動の眼を画面の外に向けながら、「これはフィクションですよ」と語りかけてくるような違和感。この絶妙な噛み合わなさが、カウリスマキ独特の作家性を作り出しているような気がした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました