昼過ぎに健康診断へ。
数日前、職場でもらったはずの受診票がどこにも見当たらないことに気がつき、慌てて部屋をひっくり返すもさっぱり見つからない。職場で青い封筒を手渡された記憶すらも曖昧で、もう全くもって打つ手がなくなってしまう。
大人として、社会人として失格の烙印を押されたような気がしてひどく落胆する。小学生の頃、通学路をもう引き返せないくらいに進んだタイミングで宿題を家に忘れたことに気がつく、みたいなあの冷や汗を掻く感覚を思い出し、幾度となく経験してきたはずなのに一向に慣れない(慣れてはいけない)嫌な気持ちになる。
しかしすみませんと健診センターに電話をかけると、じゃあ受付で用意しておきますから、と優しい声をかけてもらいホッとする。当たり前だが、あの怖いI先生ではないのだ。ただこれはやはり客と売り手の関係だから優しいのであって、この優しさに甘えてはいけないと思う。
そんなことがあったので、絶対に遅刻してはいけないと思いちょっと早く職場を抜け出して健診センターへ向かう。去年も行ったが、都会の真ん中で素晴らしく清潔感のあるその空間は多分にシステム化されており、受診者たちは手首に巻かれたリストバンドに印刷されたバーコードで管理される。
その鮮やかに整理されたシステムの中で、僕は「すみません受診票をなくしてしまったんですけど……」と申し訳なさそうに告げた。
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