ひどい夢を見た。
僕は人混みの中でひとりぽつねんと立っている。するとどこからかナレーションのような声で、
「次の攻撃は【辛さ】によるものだった」と誰かが告げ、間髪入れずに空からひっつき虫のような小さな玉状の物体が落ちてくる。僕はうっかりそれを触ってしまう。
少し肌がヒリヒリするような感覚があり、僕はそれを剥がそうとするが、細かい毛が肌の中に絡み合っていて、なかなか取れない。そうこうしているうちに、その物体はどんどんと数を増して降り注いでくる。
皮膚や粘膜のあらゆる箇所に、【辛さ】が波状攻撃のように押し寄せてくる。特に口の中で、その小さな球はいくつかの塊となってひどく僕の神経を痛めつける。
身体全体が【辛さ】で包み込まれるような感覚になり、いつの間にか意識が朦朧としてくる。「ああ。こうやって僕は死んでいくんだな」と思った瞬間、ハッと目が覚めた。
薄暗い部屋の中で、夢で良かったと安堵とともに目を開くと、目の前にはメガネをかけた五歳くらいの男の子と、その姉らしい女の子がじっと僕を見つめている。
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