昼、いつも通り職場近くのコンビニで昼食を買う。野菜たっぷりあんかけ焼きそば。
レンジで温めてもらっている間に、そういえば今日の夕食も麺類となりそうなことに気がつく。余ったトマトソースを使い切るには、どうしてもパスタかそれに類する夕食になるだろう。
僕の後ろに並んでいた女性が店員に弁当を手渡し「ちょっとだけ温めてほしい」と言う。困ったお願いだ。融通の効かない僕が店員なら、「【ちょっと】ってどれくらいですかね」などと言ってしまうだろう。「人肌くらいかしら」「それはおかずの表面が人肌ってことですかね。それとも内側が?」そうして列の流れは滞り、後ろに並ぶお客さんは軽く舌打ちをすることだろう。
しかし素早い動きが求められる昼時のコンビニにおいて、正確さなるものは一切必要がない。そのことを理解している店員は、女性が「温めてほしい」と言い終わる前に弁当を手に持ち「半分くらいですね」と早口で言って電子レンジに突っ込む。
なんと軽やかで美しい動きだろうと思う。店員は再び女性に向き直り、レジ袋はいるかどうかを尋ねる。「いらない」と答える女性の返答とともに、その背後で僕のあんかけ焼きそばが温め終わる音が鳴る。
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