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2025年1月4日

【運営の日記】正月休みを返上

三が日の最終日。翌日の午前に本棚が届くので、夜に実家を出て自宅に戻る。

いつもよりもの寂しい山手線で席に座っていると、どこかの駅で小学生らしい男子の二人組が乗り込んできた。パンパンに膨らんだリュックサックを前がけにして、僕の向かいの席に並んで腰掛ける。

黒縁メガネが斜めに傾いた色白の少年と、早口で喋るよく日に焼けた小柄な少年。キャッキャと高い声で笑い合う二人はとても仲が良さそうに見える。

小柄な少年が、手に持ったペットボトルを回転させて、中に小さな渦を作る。それを見て、眼鏡の少年が楽しそうに笑う。渦はこれまで見たことがないくらい深く尖った形になって、あと少しで底を突き破ってしまいそうに見える。

とある駅で、小柄な少年が電車を降りた。彼を見送ると眼鏡の少年の目は急に萎んだようになる。リュックサックを開いて、A4サイズのテキストを開く。その端には「早稲田アカデミー」と書かれていて、彼らが正月休みを返上して勉強に勤しむ受験生であることを知る。

眼鏡の少年が、がらんとした車内で筆箱をぶちまけてしまい、僕の前に何本かの鉛筆が転がってくる。僕はそれを拾い、下を向いたままの彼に手渡しながら、頑張ってねと心の中で小さくエールを送る。

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