性懲りも無く元同僚が泊まりに来た。キャリーバッグに全ての荷物を詰めこんで僕の家に転がり込んでくる。
今年最初の労働を終えて家に帰ると、なんだか思ったより部屋の中が散らかっている。年末に大掃除をして、床に積まれていた荷物を一掃したにもかかわらず、である。無造作に放り出された服や細々とした荷物が狭いアパートの三分の一ばかりを占拠している。あのキャリーバッグの中に、散らかりうる原因がこれほど詰まっていたことに驚く。
彼は言う。「いや、今度留学する際に認証PDFが必要で」よくわからない。「ちょっと焦って、荷物という荷物を全部ぶちまけて探していて……」
詳細はよくわからないが、留学先に提出する資料でややこしい手続きが必要なのだという。手続きが遅れれば、留学の話が立ち消えになる可能性もあるのだという。
確かにちょっと大変そうである。しかし、僕が帰宅して部屋の扉を開けたとき、彼は呑気に豚汁を作っていた。
どう考えても、散らかした部屋をちょっとでも片付ける余裕はある。それを行わずに豚汁作りに励んでいられるのは、片付けというものを軽んじているからなのだろう。
豚汁は美味しかった。部屋は散らかったまま。
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