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2024年6月20日

シマリスさんの日記

保護猫カフェに来た。ここ半年ほど、「猫飼いたいな。でも独り暮らしだし寂しい思いさせちゃうかな。いやでも見守りカメラとか自動給餌機とか駆使すればどうにか…」と思い悩んでいる。

どう思う? と母親に相談したら、誰それの猫はお風呂に入ってるだけで後追いして鳴くだの、緊急時の預け先はどうするんだなどと長文のLINEが送られてきた。

聞いといて勝手だけど、こちらとしてはもうそんなことは一通り考えてるんだ。考えた上でそれでもどうにか工夫して飼えないものだろうかと相談してるんだよね。 「じゃあ保護猫カフェとかに行って聞いてみたら」と言われて、それで来た。

もともと飼うなら保護猫がよかった。実家で犬と猫を飼っていたが、どちらも保護したり譲渡されたりしていたからだ。

手洗いと消毒をして、貴重品はロッカーに預ける。窓から猫のいる部屋が見える。お客さんはいない。少し緊張してとび出し防止の柵とその向こうにあるドアを開けると、何匹かの猫が近づいてきた。すり寄ってくるわけではない。1mくらいの距離を保ってこちらを警戒している。

部屋は毛布みたいな生地のピンク色のカーペットが床全体を覆っていて、キャットタワーや玩具、クッションが置いてある。ちょっと託児所みたいな感じ。数匹を除いてほとんどの猫は眠っている。寝てる子を起すのは悪いかなと、毛づくろいをしているキジトラの子にゆっくり近づいて匂いを嗅がせてみる。撫でたりはせずに横に座ってただぼうっと眺めていた。

部屋には大きな窓があって換気のためか少しあけてある。すき間から涼しい風と車のクラクションや救急車の通り過ぎる音が聞えてくる。そこに眠っている猫たちの鼻息が混じって、いかにも静かでゆったりとした時間だった。

しばらくして、スタッフさんがご飯を抱えて入ってくると景色は一変した。今まで眠っていた猫たちが一斉に起き出してきた。そんなところに隠れていたのかとすき間から出てくる猫もいた。二十匹弱の猫たちが一斉にお尻を高く上げて前足を遠くに伸ばすあのポーズをやり出す。ああよく寝た、と言い合うような様子でわらわらと集まってくる。なかなかいい眺めだった。

保護された事情はそれぞれ違うようだが、尻尾がない子、目ヤニが出ている子、怯えてケージから出てこれない子もいた。逃げない猫にだけ順に挨拶をした。

独り暮らしで譲渡された事例も結構あるらしく、「落ち着いた性格の成猫であれば工夫次第でストレスなく過ごせると思います」という。スタッフの方に詳しい話を聞いていたらいつの間にか時間になっていた。

帰り道、実家で飼っていた黒猫を思い出した。物置に捨てられていたのを、バリバリに引っ掻かれながら私が捕まえた。そういえば私、猫は好きだけど、撫でたり抱っこしたいと思ったことはあんまりないな。小さな舌で夢中で脚を舐めたりただ眠っているところを観察したりして、猫の不思議な時間感覚の中で一緒に過ごすのが好きだった。

猫はすごい。猫のいる空間はそこだけ時間がゆったり流れる。ここ最近は仕事で疲れ、休日は正午まで寝て、気づいたらスマホばかり眺めてしまっている。余計に首や目が疲れるし、何をやったという充足感も湧かない。じわじわと悪循環にはまっていく感じ。でもあの部屋にいる間は、スマホを一度も触ろうとしなかった。仕事のことなんか忘れていた。

うーん、やっぱりもう一度猫と暮らしたいな。

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