Xのタイムラインを眺めていたら、河出書房から近々『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』という海外小説が出るという知らせが目に留まる。
赤い装丁の本で、表紙にはシュルレアリスム調の絵。よく見るとそこに超現実的な何かが描かれているのではないが、描かれたさまざまな物体の輪郭がどこか違和感を覚えさせるタッチで、おどろおどろしいような印象がある。
とにかく、タイトルがすごい。これはすごいとしかいいようがない。その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか? 「なぜ」という疑問符が、「おかゆのなかで子ども煮えている」という信じがたい事実をいわば当たり前のものとして提示している。これはどんな恐ろしい話なのだろうと、色々と想像を掻き立てられる。
しかし本のあらすじを読んでみると、どうやらこれは僕が想像した物語ではないらしい。
「地獄は天国の裏にある。」
祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったが――。
世界16カ国で翻訳、伝説の作家が唯一残した自伝的傑作が、ついに邦訳!
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209142/
あらすじの意味がわからない。おかゆのなかで煮えている子どもって結局なんなんだ。しかもこれは自伝的な作品らしく、つまりそれは「おかゆのなかで煮えている子ども」というイメージが、何かしらの現実的な要素として登場してくるというわけだ。
ひどく気になってしまった。売り出された日にはちょっと手に取って読んでみようと思う。
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